クオータニオンの交換関係
では、互いに平行でない単位 の間には一体どんな関係が成り立つのだろうか? これらの関係で最も重要なのは、 と とが交換しないという点である。従って、これらの交換関係を見るのが良いだろう。
まずは簡単な例として、クオータニオン単位同士の交換関係を考えよう。
このように、クオータニオン単位同士の交換関係は別のクオータニオン単位を生成する。ただし、2倍された値が出てくる点に注意する。
では次に、 で考えてみよう。ただし、どうせ何かを2倍した値が出てくるので、あらかじめ2分の1しておこう。
ここで、 は と の間の角度で、 は と の両方に直交する。(向きは右手系なら と を右手の親指と人差し指に割り当てた際に、それらの指に直交するように中指を向けた際の方向になる。)このように、交換関係をとると2つの向きに直交な方向を向くのである。そして、その大きさは と のなす角が直角に近いほど大きくなる。
直交する 同士の交換関係を考えた時が最も極端な場合で、それらに直交した を生成する。クオータニオン単位同士の交換関係はまさにその場合であり、結局この性質は、クオータニオン単位の「クオータニオン単位同士の交換関係がそれらに直交したクオータニオン単位を生成する」という性質によって生まれるものである。
が直交している状態から直交していない状態に変化するにつれ、両方に直交した を生成するという性質に変化は起きないが、その大きさには影響が出てくる。これは、「平行な 同士は交換する( が や と交換するのは明らかだろう)」という性質と先ほどの性質との間を考えれば、イメージできると思う。
では次に反交換関係を見てみよう。まず、クオータニオン単位同士は当然反交換するので、
となる。
では次に、 で考えてみよう。
このように、反交換関係を取ると実数になってしまうのである。そして、その大きさは交換関係の時とは逆に、 と のなす角が直角に近いほど小さくなる。
これも、「平行な 同士の反交換関係は か になる( など)」という性質と「直交する 同士は反交換する」という性質の間を補間して考えるとイメージが湧くと思う。
これら2つの性質のうち、交換関係における性質は、クオータニオンによる回転をイメージする際に重要になってくる。これについては次回の日記に書くとする。